プールから学ぶ?! (1) -ターン-

難しいところが弾きづらい場合、どうして弾きづらいのか、練習に入る前にその原因を探すことが大切だ。様々な難しさがあると思うけれど、ピアノ演奏でよくあることの一つ、大きく素早いポジション移動のときのミスについて書いてみたい。これは主に2つの原因が挙げられると思う。
1) これから来る難しい個所が気になって、目の前の事が不安定になる。
2) 移動に無駄があり遅くなっている。
最初の点については、階段を降りるようなものだ。ふと、先に気が行ったために、目の前の段を踏み外しそうになり、ひやっとすることがある。今弾いている音をきちんと弾くだけでなく、きちんと出した音を耳でキャッチ(聴く)してから次の難しいところを弾くということを常に頭に置いておくだけで、良い意味で演奏に安定感が出る。
2)について詳しく考えてみたい。これは、“速い移動をしなければいけない”という思いから来る間違いで、意外と多い。たとえば左手で、低いバス1音と真ん中あたりの音域の和音を交互に弾かなければいけないとする。バスを弾いて素早く次の和音に移動しなければいけないから・・・と左右への鋭い動きで鍵盤上を右へ左へと反復横とびのように(笑)移動して演奏しようとするケースが良くみられる。
これは本当に一番早い動きなのだろうか。
プールで泳ぐときのターンをイメージしてみよう。壁にタッチしてターンする方法ももちろんあるが、速いのはクロールなどで見る、壁の手前でくるっとするターン(クイックターン)だ。
水泳で壁にタッチしてから向きを変えるのと同じように、左右への鋭い行き来は速いようで実は大きく時間のロスをする。それは方向転換をする時にその向きが180度反対になってしまうので、今向かった速度にブレーキをかけて反対方向に動くことになるからだ。左右にそれを続ければスタートしてはブレーキをかけるという繰り返しになるため大変な運動になる割に速い移動ができない。
少ないエネルギーで一番早く動けるのはどういう時だろうか。
それは“円”を描くこと。
肘を軸にして、腕を回してみよう。左右素早く腕を動かすよりも、肘を中心にして円を描くほうが少ないエネルギーで、楽に早く動かせるのがわかるのではないだろうか。ここで大切なのは、肘を軸にするということ。円を描くということは、軸がないと非常に難しい。
コンパスでも軸がある。アイススケートで同じところで早くぐるぐるまわる演技があるが、これも体の軸が命になると思う。同じことがピアノでも言え、上記の場合ではその軸が肘である。
この“円”の動き、もちろん目に見えないほど鍵盤のそばで小さく行わないといけない。大きな円を描いていては逆効果で、かえって時間ロスになってしまう。自然な動きとは、移動するバスと和音の中間あたりに肘が来るように置き、それを軸として鍵盤の“ほんの”少し上を曲線を描くようにバスを探しに行き、バスを弾くと同時に鍵盤に這うように戻る。這うように行って這うように戻るのではなく、ほんの少~しだけ上に山を描く様にバスを探しに行くというのがポイント。そしてバスを弾いたと同時に真ん中の和音に戻る。その動きを線で描くとすると、横に長~い楕円のような動きだ。もちろん例外もあるのだけれど、概ねの基本はこの動きが利用できるだろう。
ピアノに限らず、楽器を演奏する際、体ができる限り自然な状態に近いほうが良い。バイオリンでも、チェロでも、クラリネットでも・・良く考えてみると、体と楽器が一体になるように、両腕で円を描くように楽器を包み込んでいる。ピアノも同じ。演奏でこの円の原理という自然な動きは本当に良く使う。
ショパンは手が小さい人だった。彼は本当にうまくこの円の動きを使ったテクニックで
曲を書いている。大きな移動に限らず、円のテクニックはショパン演奏の基本だと思う。そう考えてテクニックを探してみると面白いかもしれない。
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ドイツで歯医者さん (1)

私のかかりつけの歯医者さんは、とっても良い人♪ベルリンに来て間もないころから
お世話になっていて、その当時は私のドイツ語がまずかったため、悪戦苦闘。
それでも熱心に歯の状況とこれからする治療を身振り手振りで伝えようとしてくれる頼りある若い歯医者さん(以下G先生)。そして、そのアシスタントとして歯のお掃除などもしてくれる女の子(A)。この二人がもう10年来、私の担当医である。
で、このアシスタントの子が何とも言えない味なのだ。彼女はおそらく私より数歳若いと思う。もともと、事あるごとに自分の世界にすーぅっと入っていそうな、独特オーラが出ている。ある時なんぞは、治療中にふと、
A: ねえ。結婚ってやっぱり良いものかしら・・(¨ )
と遠い目で尋ねられ、
私:へ? (・_・;) あ、まあ良いんではないでしょうかねぇ。
と歯切れのない返事をした私。歯医者でこんな会話あるのか、普通・・・。
その彼女が先日治療に行った時に、顔を見るなり。
A:あなた、ご主人ともうすぐ演奏会するんだってね、ベルリンで!
私:えー、何でご存じなんですか?
とまたまた、歯医者というより近所の奥さん・・ってな感じの会話である。なんでもクラシック音楽を聴くのが趣味だとか。それで演奏会情報を見ていたらDと私の名前が目に入り(Dもこの歯医者でお世話になっている)早速チケットを予約したらしいとのこと。
A:しかもね、G先生ご夫妻にもその話をして、予約させちゃた♪
私:あのぅ・・・・。G先生はクラシックなんぞ興味ないのではないでしょうか・・・かえって迷惑では・・と気をもんでいるうちにG先生登場。
G先生:いやぁ、元気?君たちのコンサートのチケット予約したよ!アシスタントAに勧められてねー。で、どんな演奏会? ←(ってチケット取ってから質問?)
私:えーっと、○×団体というのが企画していて・・・・二台ピアノで・・・。
G先生:ふーん。ところでそれってクラシック音楽?
私:(o ̄∇ ̄)o!!ガーン
やっぱり・・。曲目よりも何よりも、クラシックのクの字も知らない先生であった。大丈夫かなぁ・・・。
私:でもその日もお仕事があるんじゃないですか?
G先生:大丈夫。その日は特別にアレンジして、早く店締めをすることにしたから♪
(-o-) いいのか、この歯医者? 
G先生は、本当に辛抱強い。何しろ、はい、歯をかみあわせてー、ハイ、カチカチいわせてー。ほい、こすり合わせて、などということをいわれても、何がかみ合わせて、なにが、カチカチいわせるかなんて、来たばかり頃の私にはそんなドイツ語分かるわけなし。なので、あたふたしていると、G先生自身が一生懸命、がちがち噛んで見せてくれたりとか、こすり合わせて見せてくれていたのだ。ほんとに良い人だ♪(←単純?)
先日は、アシスタントに治療してもらう日だった。この日もA子はとぉってもいい味を出していた。その話は次回に!
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で・・・(続き)

Dが帰って来たので、いきさつを“かくかくしかじか”・・(>_<)  と説明し、改めて二人で、ただでさえ鬼のように忙しくなる明日からのスケジュールとにらめっこをしながら、これからしなければいけない車の手続きの数々とを思い浮かべ、 (≡д≡) ガーン と、思いっきりへこんだのでした。 警察に車を持っていかないと、と気を取り直し駐車場に戻ってエンジンをかけた。すると、 あら?ハンドルがぐっらぐら。今にもはずれそう。しかも、ウインカーの棒が ポキッと折られてなくなってる! ・・・・運転できません。(・_・;) あらためて警察に電話し、車を持って行けないということを話した末、夜になってやっと刑事課の二人が来て車に残った指紋などを調査。犯人はゴム手袋をしていたらしく、ゴム手袋の跡を警察が見せてくれた。 警察によると、今日はこの駐車場に車を置いている人からひっきりなしに電話があったそう。おそらくたくさんの車がまたもややられた模様。 そういうわけで私たちの車は動かせないので、明日の朝8時に牽引車が取りに来ることになったのでした。早起きしなきゃ。泣 この間11月に直したばかりの後部ガラスと扉を、またも修理しないといけないなんて。 こんなことなら車を売ってしまおうかな。と話している我々でした。いずれにしても あの地下駐車場は、明日中に契約破棄です。 もう。

生中継 

ついさっきのこと。車でDを迎えに行こうと、地下駐車場に行ったところ、
うっそ(-_-#)
ということが起きていた。なんと
11月に車上荒らしされた時と、まったく同じ状況で車を発見。
そう、再び車上荒らし。
前回と同じガラスを割られ、同じようにエアバッグがないところまで確認。そのあとは、うっそでしょ・・と呟きながら、家に戻り、警察に電話。
私:もしもし、あの・・・11月にもお世話になりましたが・・・
と、こんな電話をするのもなんだが、警察も警察で、車のナンバーを聞いただけで、
あ、あなたDさんね。と我々常連客のような扱い。今回はどうすればよいですかね?と尋ねると、
警察:じゃあその車を運転してきてくれる?
というので、思わず
私:おたく何時まで開いてます?
と聞いてしまった。(もうこの辺で、警察との会話とは思えない)警察も警察で
警察:僕たちは、いつでもあなた方のためにあけてるよ!
とさわやかに”のたまう”ので、今からDの帰りを待って、それから警察に行ってきます。なんかもう、慌てもしない。
ブログ書いてるし・・・・汗
ただただ、やりきれん。このところ、ただでさえ目が回るほど忙しいのに・・・・。信じられない。
Dもそれはそれは驚くだろうな。というわけで生中継でした。

マザー牧場記

久々に家族でドライブに行こうと、つい先日マザー牧場を訪れた。どこに行こうかと考えていた時、今の時期、イチゴ狩りも良さそうだという兄の意見もあり、マザー牧場なら、牧場も見れるし、イチゴ狩りもできる!という私の短絡的というか欲張りな考えで場所を決めたわけである。
牧場かぁ・・。久しぶりだなぁ。牛や、羊、馬が広~い草原に放牧され、のぉんびりと散策♪う~ん、良いねぇ・・・(^。^)
と夢を広げつつ車を走らせる。
途中渋滞にも巻き込まれ3時間近くかかった為、我々3人とも着いた途端、
おなかすいた(・。・)
というわけで、食べるところを探す。おうどんが食べたい♪と車の中で寝言の様に呟いていた私であったが、目の前にまず見えたレストランの看板文字は、ハム、ソーセージ。
私: そんなの、いらん (― ―〆)
兄: 牧場の向こう側にもっとお店がありそうだよ! (^。^)
と、入り口で渡された“マザー牧場地図”を見ていた兄の発言を機に、皆でそちらのほうへ歩き出す。しかし・・・なんか変だ、動物が見当たらない。
牛や馬があちこちにのんびりと・・・という夢とは程遠い、だぁれもいない無人の草原とまばらな訪問客を見て段々と不安にとなってきた。そんな中、兄が一言
兄:これは、きっと今オフシーズンなんだな・・・。(・ε・)/
私:やっぱりそう思う?(・_・;)
良く考えたら、この真冬に小高い山の牧場が見ごろな訳がない。汗
うどんからハヤシライスに妥協となったものの、腹ごしらえをし外に出ると、何やら人が集まり、騒々しい。どうも何か催し物が行われるみたいだ。案内役の若い女性がこの少ない観客を盛り上げようと、がんばっている声が聞こえる。
行ってみよう!と近づくと、なーんとそこで行われていたのは、
(=`(∞)´=)ブヒィー 
こ・・・・・こぶたレース?!
牧場は?牛は?馬は?・・・え・・・・ブタ???
さすが私の旅行ですな。何かいつもひと癖あるんだな、私の人生って。(-o-)
訪れていた小さな子供たちが、それぞれ自分に割り当てられた子豚をうしろから追いかけ、
先にゴールした豚を追っていた子が勝ちという何ともこぶたちゃんにとって哀れなもの。しかも豚というのは、本能的に後ろから追われるのを特に怖がる動物らしい。そんなことはそっちのけ、子どもは勝負となると、容赦なし。こぶたちゃんのお尻をばしばし、ばしばし、ばっっっしばし・・・・・である。
あはは、おもしろいねぇ! 
・・・・って、3時間もかけて、こぶたレースを見に来たわけではなーい! (>_<”) 私:よし!気を取り直して、他にどんな催し物があるか見てみよう! と表を見てみると、こぶたレースの次にある本日最終の催しは・・・えーっと14時から、 ♪アヒルの大行進♪  なんでや。(-_-#)  ここら辺で私たちの会話は減り、シーー( ̄、 ̄*)――ン となり始めていた。これは牧場はあきらめ、イチゴ狩りしかないかも・・・。汗 イチゴ狩りのほうへ歩いて行く途中、“うしの広場”という文字が。今度こそ、会えるかも、牛に!行こう行こう!と小さなトンネルをくぐり広場へ出ると…?! いた・・・(-o-) ushi.JPG
ま、私がどうこう書かなくても、この顔がすべてを物語っているでしょう。気分は牛に聞いてくれ。←もう投げやりである。
総勢5頭ほど。寒さの中、ねっ転がってめっちゃめちゃやる気なし。どなたも私たち訪問客のために、あいそもふりまいてくれない。まぁ、
(*^-^)ニコ 
と牛が微笑んだら怖いが、せめて立ち上がってくれてもよさそうなものを。
写真には映っていないが、そのうち一頭なんて
完全に横になって寝てるし。緊張感ないのか、野に放たれた牛たちよ。
それでも、“やっと牛が見れて良かったねぇ”などと言いながら、小高い丘を登りイチゴ狩りを目指して歩いていると、
あ、羊だ!!! 
パパと兄の声!目の前には10頭ぐらいだろうか、羊がいた。触ってみると、絨毯みたいな生地。やわらかぁい!
諦めかけていた我々の前に突如現れた羊に、たとえ10頭ぐらいだろうが大満足。
すると今度はパパが、お、向こうに馬がいるぞ!!
私&兄:おぉーーほんとだ、馬だ馬だ!  \((( ̄( ̄( ̄▽ ̄) ̄) ̄)))/ヤッター!!
もうここら辺で私たちのテンションもかなり怪しく、馬かウシか羊が1頭でもいれば歓喜の声である。
で、肝心の馬はというと、10メートルほど先に見える柵の中に、2頭。
さびしぃ~ (*_*)
そしてその前にある看板。
uma.JPG
さわやか~な笑顔で蹴り上げる馬よ、君たちっていったい・・・。
良く見るとすごいな、この看板。かむことがあります、けることがあります・・・って。汗
そうはいっても、馬も羊も見ることができ、気分も良くなってきた。この分だと、まだいるかもしれない!そう・・・そして、やっといました、羊の群れ!!たっくさんいるいる!!
近くには餌の袋が100円で売られていた。兄が、“羊のえさ”と書かれた袋を手にもった瞬間、羊さんたち、相当目が良いらしく、集まってくる集まってくる。その中でなぜか1頭だけ角を切られないままなのがいて、こいつがすごい。餌が欲しいと、柵に向かって何度も何度も頭突きをしてくるのだ。どうみても“闘牛ひつじ版”としか思えない。こわっ・・・・。
そうこうしているうちに、兄は100円で人生で初めてこんなにモテモテになったのでした。(↓頭突き羊のせいでかなりへっぴり腰)
hitsuji.JPG
ここで初めてようやく牧場らしい体験をし、ご満悦でイチゴ狩りへ。
イチゴ狩りって、はさみでも持って、ちょきちょきっと行くのかと思ったら、手でちょっと下に引っ張るだけでとれるんですねぇ。始めての体験に、みんな大満足。
ichigo.JPG
初めはどうなる事かと思った牧場訪問だけど、少しずつ少しずつ満たされ、イチゴ狩りを終えるころには3人とも幸せ♪ そして、そろそろ帰ろうかと駐車場へもどる途中、
なーんと、バンジージャンプを発見。こんな小高い丘の、しかも“牧場”に、なんでバンジージャンプを置いているのか全くわからないのであるが、しかもそれをまさに今飛ぼうとしている青年が!!! 
そしてその彼が(ノ・o・)ジャーンプッ!
うぉ、うぉおおぁぁああおおおおおおおお ヽ(`○´)/ ←その男性の声です、念のため。
いやぁ、聞きましたねぇ。人間の“腹の底”からの声。恐怖にさらされるとあんな声になるんですなぁ。
お金くれても絶対飛ばないな・・・と呟きながら村田Familyの、こぶたレースから始まったマザー牧場ドライブは終了したのでした。
今日のひとこと:牧場は、春に行きましょう~♪
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ほぉ。(・。・)

ふとしたDとの会話で、日本からの距離がさぁ、と私が話していたところ、
D:<日本からの>距離って日本のどこから? (゜o゜)
と聞かれた。そういえばそうだ。考えたことなかったなー。
Dが疑問に感じたのは、それもそのはず、フランスのパリには、ノートルダム宮殿の前に“ゼロ地点”というのがある。フランスの起点となっているところで、地面その地点を表すものが埋め込んであり、そこに立って写真を撮るのが観光名所の一つとなっているほど有名だ。
日本のゼロ地点ってどこなんだろ。
さすがはインターネット時代。調べれば出ているんですねぇ。標準時は明石だし、必ずしも東京ではないのかなと思いながら調べたところ、日本橋でした。
ほぉ。日本橋のど真ん中にパリ同様地面に立派な元標が埋め込んであるらしい。
では、大阪から北海道までの距離は・・・などという場合にはどこが起点になるのだろうと調べたところ、各県にあるんですねぇ、道路元標というものが。
それぞれ何らかの形で印が立っている。
このサイト、面白かった!http://joe.ash.jp/travel/road/genpyo02.htm
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自分を知る、楽器を知る 最終回(7)  “ぬく”“緩める”という意味

鍵盤を“戻す”こと。これは、前回の“プラス方向”に送ったエネルギーを吸収すればできる。簡単に言うと、エネルギー(自然な重さ+速度)を送り込むのをやめれば、鍵盤は勝手に元の位置に戻ってくる。つまりは、緩めれば戻ってくる。スタッカートにしたければ、鍵盤を早くハンマーにあてて、すばやく戻せばよいわけだから、打鍵の後、“素早く抜けばよい”ということになる。
だから、短い音にしようと必死で上へ指や手をしゃくりあげる必要はない。
この“ゆるめる”ということ。誰もが耳にしていると思うこの言葉。場合によっては、“ぬく”と表現されているかもしれない。ピアノでいう緩める、抜くという状態は実際にはどういうことをいうのだろうか。このことが、本当の意味で正しく解釈されていないことが多いと、あらゆる場面で感じる。
<本当に緩めてしまったら、どうなるか>を考えてみると良いかもしれない。
たとえば、地面に立っているとする。力を入れずに<休め>の姿勢で立っているときをイメージしてみる。この時、すべて緩んでいるだろうか。もちろんそうではない。例えば、足首やひざは緩んでいない。緩めていたら、がくっと倒れてしまう。
ピアノも同じ。本当に手を緩めたら、手が手首からだらんと下がって幽霊みたいな状態になるし、腕を完全に緩めたら、ピアノの上にどたっと腕全部の重さがかかってしまう。
原則11)演奏中に、完全に緩めてしまうことはない。
では私たちが使っている“緩めて“という表現は、どういうことなのだろうか。
それは、”スタンバイ“ができているという状態のこと。次の音、次のポジションへ移動できるスタンバイ状態。
椅子やソファーににどてーっと座っている状態で、さぁ、今から走り出そうと思っても、体が準備できていない。走り出す前の状態、たとえばかけっこでスタートラインに立っているとき、体は固まっていないけれど、足やひざなど必要な部分は、意識が高まって移動できる状態にあるだろう。これと同じで、ピアノでも次に動ける状態というのを”緩める“と表現しているのだ。
原則12)ピアノでの“緩める”ということは、“スタンバイができている”ということ。
1つの音を弾いた後、その指を固めているわけではないが、その指を利用して次にどこにでも動けるスタンバイ状態を作れていないといけない。つまり、適度にしまっていて、同時に柔軟な状態とでもいえるだろうか。わかりやすい感覚としては、
椅子の上から地面に飛び降りた時の両足の状態かな。足を固めていたら着地の時にとても痛い。でもゆるめてしまっていたら足をくじいて倒れてしまう。ばねの利いた状態で、足で地面をとらえ、すぐに飛び降りたエネルギーを吸収している。指の適度にしまった柔軟さは、この足の感覚によく似ていると思う。
これは指だけに限らず、体もおなじ。理想の座り方の状態は、お尻の上にはしっかりと座っているけれど、上半身は、とても軽い状態なのだ。どてっと座っていては、エネルギーを指先に送ることができない。
これまで7回にわたってピアノと人間という二つの楽器について見てきた。ピアノを弾く時に、決してあの機械がああなって、ハンマーがこうなって・・などと考えながら弾いているわけではない。どんな時も、耳が優先。耳から探す。つまり、音やキャラクターのイメージをまず鮮明に頭に描き、それを耳を通して音にしていく。ほしいと思った音が出た時にはじめて、今どういう打鍵をしたのか自分で再確認するというのが、理想的な練習の順番だと思う。
譜読みをして、ある程度弾けるようになってから、キャラクターを考えるのではない。
まず、キャラクターやイメージから入ること。このことはいつでも心の隅に置いておいて欲しい。
その上で、楽器というものの作りをもう一度見直し、理解しておくことは決して無駄ではないと思い、今回の7回にわたるブログを書いてみた。自分にとっての再確認として文章にしてみたのだけど、もしも何かの役に立っていたら嬉しいな。
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あけましておめでとうございます!

え、今ごろ?って言われそうな感じですね、すみません・・・今年は遅ればせながらご挨拶です。
ちらっと言い訳をすると、ここまで更新が遅れたのは、なにせダウンしていたせいなのですが、ダウンしていたのは、私ではなくサーバーの方。
新年早々サーバーがアップデートを試みた様で、その際にサーバー側が設定をミスしたらしく私のサイトが使えなくなってしまっていたそうです。
何はともあれ今日から復帰。よかったよかった。
今年は、ブログの主役ともなりつつある、私のだんな君“D”と私による二台ピアノ活動本格化の1年になりそうです。ドイツ、フランスをはじめ、オランダ、メキシコ、そして日本では11月に北から南まで7箇所ほどの全国ツアー公演を予定しています。地方公演では、踊りをテーマとしたプログラム、東京公演では、今年生誕100年となる作曲家メシアンのアーメンの幻影を全曲演奏させていただく予定です。
それに先立ち3月には日本でメシアンのアーメンの幻影を中心としたCD録音も行います。
DUOのホームページも近々開設予定ですので、またこのサイト上でご報告させていただきます。
本年もよろしくお願い致します!
皆さんにとっても、素敵な一年となります様・・・。

オレオレ詐欺?

いやぁ、車上あらしといい、パパの駐車違反と言い、車にはいろいろいわくのあるわが家庭。うちは、なにせ、以前おれおれ詐欺もかかってきてるんですよー。 しないで良い経験の数々なら、本当にうちに任せてくれ! (`ヘ´) (自慢してどうする)
とある、のどかな日中。実家の電話が鳴った。
パパ:もしもし?
私役:うわーーーん、どうしようー 
と、電話口にはぎゃんぎゃん号泣する女の子。
私役:事故起こしちゃった、どうしよう・・・わーん、わーん(号泣中)
そこで電話口に警官登場:
警官役:もしもし?お宅のお子さんが車で事故を起こされましてね、相手にけがをさせてしまったんです。ご実家のご住所はこちらですよね? 
・・・と住所確認。ちゃんとあっていたらしい。
パパ:真っ青・・・( ▽|||)サー
その日、私はたまたま友達の車に乗せてもらって出かけることになっていて、パパもそれを知っていた。本当に電話のタイミングが良いというか悪いというか。
弁護士さん役:今から、弁護士とお宅に向かいますので、示談を含めてお話をしましょう。
普段から、ああいうのにひっかかるのはわからん!と言っていたパパも、号泣で電話がかかってきたら、予期せぬことにびっくりしたらしい。パパいわく、
パパ:だって、お前の声に似てたから。(・o・)
号泣なら、誰でも同じ声に聞こえそうな気もするが。……(-。-) ボソッ
でも、そこで少しずつ冷静さを取り戻したパパ。くわしい状況を尋ねたところ、警察役の説明では、
運転していたのは、私。場所は上野
という。
そこでパパは初めて目が覚めたのでした。なにしろ、私はその当時、まだ免許もっていなかったのだ。しかも、私はその当時は実家に住んでおらず、とある事情でその日は上野には500%確実と言っていいぐらい、私がいるはずがなかったのです。
その二つを聞いて、我に帰り、あ、これインチキ電話だ。(・o・)
と気がついたパパ。その後の電話対応で、向こうにもばれたことがわかったらしく、そそくさと電話を切り、えらいことにならずにすんだわけ。
こわいですねぇ。これは、数年前のできごとなのだけど、今もあの手この手で詐欺が続いているみたいだし。そういう記事や番組をみると、いかにも引っ掛かりそうにないと思うのだけど、それは客観的に見ているからであって、事実それが自分に降りかかると、後から考えればつじつまがあっていなくても、その場はパニックになってしまうことはあるんだろうな。
気をつけたいものです。(・o・)
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自分を知る、楽器を知る(6)  プラス方向に弾く

鍵盤を触ったところから、鍵盤の底までの数センチ。この間にどれだけの重さと速度を落とすかで様々な音がでることは、今まで見てきたとおり。この重さと速度を組み合わせたものをエネルギーとここでは呼んでみる。

原則9) ピアノは、下に向かってエネルギ―を送りこむ、いわゆるプラス方向の作業“のみ”で弾く。

当たり前のように聞こえたかもしれないが、実際は音を弱くしたいとか、軽くしたい、やわらかい音が欲しい、などとなると、下に落ちないように、とブレーキをかけたような打鍵をしてしまうケースが非常に多い。こうなると、ピアノを弾く時の基本である<重さを“落とす”>ことができなくなる。
または、短いスタッカートにしたいとき。熱い鍵盤をさわるかのように、ぴょんぴょん撥ねる打鍵を見ることがある。それは、短くしている気になっている“自己満足”でしかなく、本当のコントロールはきかない。
もう少し楽器のことを考えてみよう。
ピアノは指が鳴らしているのではなく、ハンマーが弦をたたいて鳴らしているのだ。そのことを忘れないでほしい。そのハンマーは下から上にあがる。つまり、どんなに軽い音や、弱い音が欲しくても、私たちは鍵盤に対して、エネルギーを下に“送り込む”、つまりプラスの作業をしない限り、理想通りの音にはならない。
弱く弾く、やわらかく弾くというのは、送り込む量を”減らす“マイナスの作業ではない。そうではなく、逆に”少ない“エネルギーを<送り込む>というプラスの作業なのだ。
もっとはっきりと伝えるために、こういう例をあげてみよう。楽譜に四分音符でド、そのあとに八分音符でソの音(先ほどのドのすぐ上のソだとする)が書いてありその後ろに八分休符があるとする。更にそのドとソにスラーがかかっているとイメージしてほしい。それを右手の人差し指でド、右手の小指でソを弾くとする。
言葉だととってもややこしいが、要するに
ドーソッというレガートだ。ソは短め。
実際弾いてみよう。
人差し指でドを弾く時は、鍵盤の底をつかんでいるが、小指を弾く時に手首をあげて、手を(手の甲を)鍵盤のふたの方へ浮かせた人がいるのではないだろうか。
浮かすことがいけないのではない。その方が感じ易ければ、“音の障害になっていない限り”どんな動きをしてもかまわない。ただ、ドーソッというレガートを作りたいという思いから、手をしゃくりあげたのだとしたら、それはレガートにした“つもり”、いわゆる自己満足にしかならない。
ドの時にエネルギーを多く入れ、少なめのエネルギーでソを弾けば、ソの音の方がドに比べて音に勢いが少なくなるので、ドーソッと聞こえる。ソの時は、エネルギーを減らしたのではなく、少ないエネルギーを下向きに入れただけだ。手をしゃくりあげる必要はない。
原則10) ピアノは、いつでも下へと弾く。上に引っ張り上げるのではない。
でも、次の音を弾くために、鍵盤をあげなければならないのではないか、と思った人もいるだろうか?
私たちに、鍵盤を上げることはできない。指先に吸盤でもついてない限り。笑
鍵盤を上げるのではなくて、戻すことならできる。どういうことかわかるかな?
この続きはまた次回に。
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日常、遭遇したこと、思ったこと・・・を飾らず気ままに書いて行きたいと思います。