CDができるまで~⑦翻訳

そして、曲目解説は3ヶ国語。日、仏、英。日本語は私が頑張るとして、興味深い解説を英訳してくれる人が必要だ。パスカルは?と思われそうだが、彼も言うように、正式なものの翻訳は相当な能力が必要となる。

以前、ドイツの名音楽教師 クラウス ヘルビッヒ先生とお話する機会があった。彼はドイツ人だが、英語、フランス語、イタリア語などなど多言語を話す方だ。彼は英語がペラペラなのに、

こう言っていた。

ーそうだねぇ、一番難しい言語は英語かな。

私には意外だった。なんとなく、多くの人が話す英語は親しみやすい印象を持っていた。

話を聞いてみると、本当の意味で「正しく」話そうと思うと、英語は相当難しい、という。

確かに、なんとなく話すのと、文章にするのでは、日本語もかなり語彙やセンスが必要だ。

今回は、旧門下生だったAちゃんとイギリス人のご主人にお願いすることにした。2人とも音楽家なので、文章の意図もうまく読み取ってくれるはず。

こんな大仕事を引き受け、1ヶ月以上かけて見事に作ってくれた2人の温かさで、CDの第二の主役と言えるブックレットに命が宿ってきた。