現代病?

レッスンを通して様々な企画を試し若い音楽家と接する中で、今深刻に感じる問題がある。それは私が名づけるところの、
「ネット病」。
わからないことがあれば検索に文字を入れ、答えらしきものを目にする。そして、”あ、わかった”・・と理解したつもりになってしまう。”この曲知らないなあ”、ネットで聴いてみよう、
あ、こんな感じの曲なのか…。音楽も同じだ。
これでは、学んだのではなく、脳はぽかんと口を開けて物を受け入れているだけであり、それで”学んだ”と思い込んでしまっているのはとても危険だ。レッスンもそうだが、
受けることに意義があるのではなく、そこで受けた情報を丁寧に1つ1つ吟味することに意味があり、そこから初めて勉強が始まるのに。
若者の消極性が強く気になり、個人レッスンやVillage,その他さまざまな機会を通して、自発性を高めようとしてきたが、今やるべきことはそこではなかったと気が付いた。
情報を得て満足することを続けていくうちに、知らず知らずのうちに、自分で”考えるとは、どういうことなのか”、”考えるにはどうすれば良いのか”がわからなくなっていて、
もっと簡単に言えば、頭を使うためのエネルギーすら失っている。
将来が不安です、自信がない・・・そんな言葉をたくさん聞く。そんなこと言ったら、私だって将来どころか毎日が不安だらけだ。
でも、そう言ったところで信じてくれない。
不安だ不安だと繰り返して、コンクールを受け続けたって何も変わらない。変わらないどころか、自信を失っていくだろう。
自信はコンクールの賞がくれるものではない。
本番の数がくれる物でもない。

不安なら考える。考えて、考え抜いて、今自分にできることをする。どんなに些細なことでも、自分に何ができるか考え、動くことが第一歩だ。
自分にできることは思ったよりもあるはず。自分にできることを一つずつ積み重ねていくことで自信につながる。考える力を養い、今自分にできることを見つけ、
一歩ずつ小さな積み木を重ねる。不安はいつでも付きまとうものだけれど、少しでもそれに打ち勝つ自信を付けてくれるのは、その”積み重ね”だけだ…と私は思う。
今一番急がれることは、彼らのいつのまにか止まってしまった脳を再び働かせるエンジンをかけることだと感じた。脳というのは使わなければ退化していく。
賢いか賢くないかではない。刺激し続けなければ、考える方法がわからなくなってしまう。
次回のDevoyons’ Villageでは、これまでとは趣向を変え、そういったものに役立つ企画を考えたいと思っている。その必要性を感じてくれる若者がいれば嬉しいところだが・・・。
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