「音楽」カテゴリーアーカイブ

またひとつ

またひとつ、栄養を吸収しました。笑 一生勉強。それが私のモットー。
12月8日のソプラノリサイタル。初めての歌との共演で緊張と楽しみとが入り混じっての本番となった。
楽しかった!!これが一言目の率直な感想。楽器もすばらしく、松尾楽器の目を見張る調整も加わり、私が試したかったさまざまな事を舞台上で実現できて、あっという間の90分。
1人の演奏会ではないから、歌のかたが奏でる本番での“色”を聴きながらの私の色選び。バランス選び。本番中にしかできないことに、とても良い具合で集中できた。
本来、心臓が飛び出るほどのあがり症な私。でも、“あがってるんです”と言ったところでなにも始まらない、というのだけは、これまでの様々な経験から痛感。そんなこと、お客さんはどうでもいいわけで、あがっている状態で、それをどう楽しんで音楽に集中するかが、私の永遠の課題。またいつか、この件についてもブログを書きたいのだけど、いずれにしても “今日も、あがってる!”ということにあがってしまうのが、大半のパターンだと思うので、 
―今日 “も” 上がってるじゃん、私。―
みたいに、上がっている自分を“本当の自分”とうけとめて舞台に出るようになってから、少しだけだけど楽にはなってきた。いつも同様、舞台上で手がぶるぶる震えていたけど、それをみながら、これが私の”普通”の状態、と思うというか・・・。
あがり症で・・・という人が生徒にもたくさんいる。私は、自信を持って(←自身持つところか? 笑)、
 “私ほどあがるひとはいるのかな・・・“
というぐらいあがるタイプ。だから、どうにかして生徒にもそれをどうコントロールするかということを手助けしてあげられたらなと思っている。またいつかブログにしてみよっと。
新しい幕開け。歌との共演。このような場に声をかけてくださった北村さんに本当に感謝。あわせでは、多くを語らず、要点だけ ”こんな感じ・・・“と伝えてくれる。その内容が非常に的を得ていて、細かいことをたくさん指示されることが苦手な私には、この要点をついた、しかも非常に的を得ているひとことひとことが、大変勉強になった。これからの成長過程で、またひとつ大きな栄養をいただいた。

いよいよだ!

8日のソプラノ歌手との共演。私にとって初めてとなる歌との共演に向け、できるだけ多くのことを吸収したいと、これまでいろいろなことを試みて来た。今回に限らずだが、普段から、本番に向けて準備期間がマンネリ化しないためにも自分なりに目標を立てるようにしている。こうすると緊張しているときに、何かに集中できるので良いという点もあると思う。
今回追求したいことは、音楽の脈と色。脈は音楽にとっての心臓ともいえると思う。”脈”をいかに自然に音楽に浸透させるかは、ソロであっても非常に難しいと常々感じているが、共演となるとさらに難関であり、まさに不可欠な最重要事項のひとつだと思っている。脈をそろえようとか合わせようとするのではなく、<相手と一緒に呼吸できること>が理想だと思う。そうは言っても、二人の違う人間であり、しかも本番にどういう脈を彼女が生み出すかは、そのときにしか分からないので、スリルであり、楽しみでもある。
そして色。これも私が永遠の課題として取り組んでいることの一つ。あの黒い楽器には無数の色の可能性が潜んでいて、どれだけそれを引き出し、また混ぜ合わせることによって、新たな色を生み出せるかを追求することは、演奏家の使命だと思う。特にピアノの特徴であり魅力は、同時に多声部を鳴らせること。1人でオーケストラができる楽器とも言えるかもしれない。それだけ、同時に出せる色の種類が多いわけだから、それらを混ぜることによって生まれる色も無限に膨らむはずである。共演となる場合には、歌のかたの作り出す”絵” 全体の雰囲気が私が置いていく色ひとつで大きく変わることになるので、大変な責任を痛感している。
たとえば、真っ白の画用紙に書かれた”家“を想像してみてほしい。描かれた絵の背景を、山にするか海にするか、朝か、夜か、春なのか、冬なのか・・・。単純にそれだけでも、この画用紙の ”家”という名の作品がまったく違って見えるのは明らかだ。歌のかたが、本番にどんな”家“を描き出すかは、私にも未知で、そこに今の私にどんな色付けができるか、責任を痛感しつつ精一杯繊細に反応できればと願っている。
脈と色。音楽の”心臓”と”命”と言えるのではないだろうか。
演奏会は、12月8日、19時より。王子ホール(銀座)にて。

クールシュベール夏期講習会 (MusicAlp Academie International de Musique Courchevel ) 2006年度

クールシュベール講習会・・・私の“ダンナ”さまが、親友のヴァイオリニストとふたりで芸術監督および事務をつとめている、今や世界的にも有名になった講習会。
実は私は、ベルリンに留学を始めた翌年、つまり97年から、今の講習会の前身にあたる小規模な講習会に毎年のように参加していた。当時、講習会を運営していたのは、あるフランス人作曲家&ピアニストであり、彼の尽力のおかげでベースができ、そして今の大きな講習会に発展したのであります。当時はピアノとバイオリンだけだったんじゃないかな・・。チェロもあったかな・・。今では、ピアノ、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、オーボエ、フルート、ハープ・・・近年ではホルンとギターも加わり、総勢600人を越える受講生が参加する、大規模なFestival&講習会になった。
事務所のない、すべて手作りの講習会。講習会を計画し、運営するメンバーは全員音楽家。全員といっても6名、“ダンナ”さまの友人ご夫婦二組と私たちなので、規模は大きくてもアットホームな感じがする。
私は、前述のとおり受講生として参加していたのだが、徐々に通訳を手伝い、当日の受付を手伝い、日本人向けのメールの返答を手伝い、申し込み手続きを手伝い・・・としているうちに、まんまと“ダンナ”さまの策にだまされ(笑)、知らず知らずとスタッフへの道を深く歩んでしまっていたのでした。気がついたらすでに抜けられない・・・∑( ̄□ ̄ ||
一方ダンナさまはというと、もちろん、作戦成功に、
にんまり♪ ( ̄― ̄)ニヤ 
うぅぅ・・。
同じように引きずり込まれたのが、うちの兄。今では定着したMusicAlpのロゴのデザインを考え出してくれた彼。コンピューターに詳しいことに加え、親切な性格がわざわい(?笑)し、あれこれ手伝っているうちに、いつの間にか公式サイトを任され、今では毎年作成しているのでした。
大変ながらも、温かいメンバーに囲まれている講習会。講習が始まる数ヶ月前からは、毎日夜中まで仕事をするという想像を絶する大変な準備に、私も“ダンナ”も<もうやめたい!!!>となることしばし。でも、毎年講習会の最終日に、彼が <受講生の顔を見ると、やめれないんだよなー>とつぶやいている。大変な準備の分、たくさんの受講生が楽しそうに参加してくれるのを見ると、うれしくなり、またやる気が沸いてくる。
実は今年、私はスタッフのみでなく、ピアノの講師としても参加することになった。ベルリンに来て10年。音楽に対し、“目からうろこ”というぐらい、音楽というものを新鮮に感じられたことがたくさんあり、本当に本当にたくさんのことを学ばせていただいた。
それを生かして、私も今の若い人に伝えたいことがたくさんある。
本当にたくさんある。
自分の見方さえ変われば、外国でなくてもどこでも学べるはず。できるだけ多くの人に、私が感じ、学んだことを、音楽を通して伝える機会が作れればと切望している。
一生の間に出会える人の数は、たったの一握り。講習会で出会う人も、今後、二度と会わないかもしれない人ばかり。人との出会いや、ある一言で人生が変わる場合もある。今年の夏、音楽を通じてひとつでもいいから彼らの心に残ることが伝えられたらこれほどうれしいことはないと思っている。
クールシュベール国際音楽アカデミーの公式サイトはこちら。
www.festivalmusicalp.com

これぞ音楽の本質!!!

とうとう出会いました!!!!!!!  本物の“音楽家”に!!!!
大晦日に、私の親友たちと小さなパーティーをした。私の“人生のパートナー”君が、
“みんなを驚かせるDVDがある!”と、その日まで見せてくれなかった映像をそこで披露してくれた。
それは、カルロスクライバー指揮のBeethoven7番シンフォニー。オーケストラは、アムステルダムのコンセルトヘボーオーケストラ。意外と知られていないDVDらしい。
今までも、CDやDVDで音楽を聴いて、感動することはもちろんあった。ただ、映像を見終わった時、金縛りにあったかのように、一瞬、呆然としていた自分は初めて。まさに、本物の“感動”だった。
お料理を口にしたときの感想と同じで、言葉にしてしまうと、うまく伝わらず、私のこの大興奮している感激が薄れていきそうなので、あえて何も書きません。でも、見てください!是非是非!!! 
ひとことだけ言うならば
カルロスクライバーという芸術家の体の中の隅々に音楽が溢れかえっていて、彼は自分からあふれ出る音楽に逆らわず、指揮棒を操り、見ていると指揮棒が自然に生命をもって動いているという感じ・・・かな。
― そうだよなぁ。音楽って本当はこうなんだよなぁ。
と、音楽の真髄に出会えた気がして、心から嬉しくなった。
私のパートナーが、
― 何かに迷ったら、これを見ればいい気がする
と呟いたそのことばが、すごく心にしみた。