今回、希望する生徒を集めて勉強会をしてみた。表参道のカワイさんのスタジオとご協力をお借りして。
私は人前で演奏してコメントをもらうだけでは、あまり意味が生まれないと感じていて、数名が集まるこの勉強会4ー5時間で1年分ぐらいの何かを得られるようにと試みた。
1人の演奏の間、聴いている側はそれが自分だと置き換えて、改善すべき点、そのやり方を考えつつ聴いてもらい、演奏後、何が気になりどうしたら良いか、それぞれの言葉で発言してもらう。演奏者側にも発言を求めてみた。
実は考えることを「言葉にする」というのは、自分の感じることを明確に整理しないとできないことで、漠然としたものを具体化するとても良い勉強になる。
そしてその「具体化し、考えること」が、自分が練習するときにいかに大切なことか伝えたかったからだ。その時も伝えたが、それなしに練習すると耳はミスタッチには敏感になっても、それ以外は何が良くて何が悪いかわからないまま漠然とただ練習することになり、善悪がわからないことほど怖いことはないと。
そして、みんなの発言をもとに、特別参加してくれたパスカルに内容を展開してもらった。
私は普段から生徒たちに発言をしているので、今回はあえて第3者のパスカルにお願いして発言してもらい、必要があれば「今のこのあたりをもう少し展開してくれるとありがたい」「これはどういう意味か説明してあげて欲しい」などとパスカルにそっとお願いをしながらより面白くなるように試みてみた。
終わった後、生徒さんから次々と心から喜んでいるようなメールが届き、やってよかったなと感じられ、また機会を見つけて開催しようかなと感じられた。
指導を始めて20年以上が経つ。私のところ来てくれる生徒たちには日頃から考える喜び、自分を育てる喜び、そしてそれが若い世代を育てる喜びとその責任感に発展してくれればと願って、試行錯誤している。最近は「目に見える成果」を急ぐ傾向があるなかで、長い目で忍耐強く努力することを学んで欲しいと思っている。そしてそれは、もっと後になって、彼らの中に着実に何かの良き痕跡を残してくれると確信している。