育てたい

今回、希望する生徒を集めて勉強会をしてみた。表参道のカワイさんのスタジオとご協力をお借りして。

私は人前で演奏してコメントをもらうだけでは、あまり意味が生まれないと感じていて、数名が集まるこの勉強会4ー5時間で1年分ぐらいの何かを得られるようにと試みた。

1人の演奏の間、聴いている側はそれが自分だと置き換えて、改善すべき点、そのやり方を考えつつ聴いてもらい、演奏後、何が気になりどうしたら良いか、それぞれの言葉で発言してもらう。演奏者側にも発言を求めてみた。

実は考えることを「言葉にする」というのは、自分の感じることを明確に整理しないとできないことで、漠然としたものを具体化するとても良い勉強になる。

そしてその「具体化し、考えること」が、自分が練習するときにいかに大切なことか伝えたかったからだ。その時も伝えたが、それなしに練習すると耳はミスタッチには敏感になっても、それ以外は何が良くて何が悪いかわからないまま漠然とただ練習することになり、善悪がわからないことほど怖いことはないと。

そして、みんなの発言をもとに、特別参加してくれたパスカルに内容を展開してもらった。

私は普段から生徒たちに発言をしているので、今回はあえて第3者のパスカルにお願いして発言してもらい、必要があれば「今のこのあたりをもう少し展開してくれるとありがたい」「これはどういう意味か説明してあげて欲しい」などとパスカルにそっとお願いをしながらより面白くなるように試みてみた。

終わった後、生徒さんから次々と心から喜んでいるようなメールが届き、やってよかったなと感じられ、また機会を見つけて開催しようかなと感じられた。

指導を始めて20年以上が経つ。私のところ来てくれる生徒たちには日頃から考える喜び、自分を育てる喜び、そしてそれが若い世代を育てる喜びとその責任感に発展してくれればと願って、試行錯誤している。最近は「目に見える成果」を急ぐ傾向があるなかで、長い目で忍耐強く努力することを学んで欲しいと思っている。そしてそれは、もっと後になって、彼らの中に着実に何かの良き痕跡を残してくれると確信している。

村田理夏子公式サイト

スペシャル公演のチケット販売を11/15に開始します!

いよいよ来年5/28のスペシャル公演販売が始まります。私たちそれぞれのソロもあり、ソロでは今何としても演奏したい大曲2つを選びました。

ブラームス ピアノソナタ 3番(パスカル)

リスト ダンテを読んで(村田)

パスカルにはブラームスの血が流れているのではないかというぐらい、ブラームスの演奏がどれも本当に素晴らしいのが印象的。本人も血が騒ぐぐらい愛していると言っています。あんなにも凛とした格調高いブラームスは、間違いなく皆さんの心振るわせ、刻み込まれるはず。この機会に是非お聴きいただきたいです。

私は、ことあるごとにダンテを演奏してきましたが、ふとある時その見事な品格の高さを強烈に感じてから、これまでとは違った演奏を目指すようになり新たな視点で模索してきた作品で、ようやく今回演奏機会が得られました。

全体のプログラムは「継がれていく宝飾品」と題し、作曲家同士が互いに影響されつつ時代を超えて名作が生まれていく様子をプログラミングしました。

私たちにできる全力で、この名曲の数々の魅力の真髄をお届けできるよう努めてまいります。どうか、皆様ご来場の上、応援していただければ幸いです。

東京文化会館はこのあと数年閉鎖となります。その前にぜひ一度、

お越しくださいませ。

スペシャル公演チケット予約

https://www.rikakomurata.com/Rikako/Ticket2025.html/