芸術家

今朝パスカルがつぶやいた。

「数々の素晴らしい曲を生み出した創造主の作曲家たちに比べたら、僕らなんて、何千分の1の存在というか、足元にも及ばないんだよね

私は最近、歳を重ねるにつれて自分がちっぽけに見え、作品に対して頭の下がる思いで練習に向かうようになってきた。色んな意味で先輩のパスカルからこんな言葉が出るなら、私は砂粒にも及ばない。

でも、だからこそ終わりなく努力できる気もする。1つ1つ、目の前に与えられたありがたいコンサートやレッスンを丁寧に真摯に準備していこうと、改めて心に誓った。

ドビュッシー ピアノトリオ

私にとって懐かしい思い出の曲。

私がベルリンに留学を始めたころは、まだ携帯などなかった。その数年後にで始めたんだけど。

慣れないドイツ語で家の固定電話の留守電応答メッセージを録音した時、何かバックグラウンドミュージックを流したいなと思い、その時手元にあったCDがこれ。このドビュッシーピアノトリオだった。

なんとも詩的でロマンチックで爽やかなハーモニー。電話がかかるたび、留守電のメッセージにはこれが流れていた。

今となっては、この曲を聴くと、留学生活への期待と、家族と離れた寂しさの狭間で複雑だったベルリン生活の始めの頃を思い出すし、懐かしさを感じる作品にもなった。

ドビュッシーの若き頃の作品で、耳慣れたドビュッシーとは異なったロマンチズムが見られる。非常に美しく、心に響く作品だ。

今回この曲を演奏できることも最高の喜びだけど、みなさんにもこの曲を知っていただけることも同じぐらい嬉しい。

11月3日 14時開演の公演でドビュッシーをお聴きいただけます!