室内楽の喜び

私が室内楽の魅力を感じたきっかけは、フランスでの音楽祭。合奏という観点がガラッとかわった瞬間だ。皆で呼吸を合わせて、きれいに調和を、、、っという感じに合奏を捉えていたのだが、かなり違ったとも言える発見だった。

私がそこで体験した室内楽は、各自が強い個性でぶつかり合い、相手への尊敬と経験を通じ、そのぶつかり合いが、崩壊しないぎりぎりラインで調和をしている。つまりハラハラ満載の、聴いていて目を離せない、エネルギーに溢れた生きた音楽だった。

日常生活でいえば、コップに山盛り入れたお水の表面張力を見てる感じ、かな。笑

やりたいことは各演奏家からはっきりと意思表示される。経験豊かな奏者はその投げられたボールに反応し、そう来るならこう行きましょうか?と投げ返す。

もちろんリハーサルはするし、意思確認はするけれど、本番、どのボールが来るかはその時の演奏者の気分にも少なからず影響する。

まさに、その場で生まれていく命で、一瞬たりとも耳を離せない時間。これは演奏者もお客さんもだ。

流山国際室内楽音楽祭は室内楽の名手が国内外から集まる貴重な機会。そんなハラハラ、ドキドキを存分に味わってもらいたい。

特に初日のプログラムについて特筆したい。天からふりそそぐモーツァルトによる室内楽の美しい幕開けのあとに続くシューマン おとぎばなし。この曲はそんなに耳にしたことがない人が多いかもしれない。

3人の演奏者それぞれの感性、個性、操る音色、そしてそれこそお互いに絶妙に絡み合えるかで、作品の魅力がガラッと変わる作品、つまり演奏者の本当の資質が丸見えになる作品といえる。今回演奏する3名は、まさにこのコンビネーションで聞けるなんて?!と贈り物と言わざるを得ない素晴らしい3名の組み合わせだ。国籍バラバラ、性格様々、そして、なんと室内楽の名手中の名手の3人。個性が生きて絡み合う魅力。きっとまたとないこの機会を絶対に聞き逃さないで欲しい!

ドヴォルザークも、血に染み込んだ民族調がたまらない。ドヴォルザークといえば誰もが知るチェロ協奏曲が有名だが、ドゥムキも、チェリストの「血の通い具合」で魅力ががらっとかわる。

今回のチェリスト趙静(チョーチン)。彼女のエネルギーは、言葉にできないぐらい、ものすごいですよ。チェロがうなると言えば良いのか。どこからあの、会場が振動するような猛烈な熱の音楽が出てくるのか。天才の境地です。初日のプログラムでノックアウトされる確率高し!です。

まずはオープニングコンサート。11月2日14時です。絶対にお聴き逃しなく!!!