今日のPascal Devoyon名古屋公演は、
神がかっていた。
ピアノという楽器を忘れるほどに、
次から次へと驚くほどの種類で生まれる色、そして生まれる命。
吸い込まれるように、舞台に釘付けになった。
前半を終わった時点で、友人が、
鳥肌がたった。色が、色が….と興奮気味に話してくれたのがよくわかる。
楽器が生き物に見えた、という彼女の言葉通り、楽器に命が吹き込まれ、唸る。
ポーランドでも、公演後興奮した女性が、
あなたの演奏は、色が、色が………とおっしゃっていたのを
思い出した。
後半のリストも圧巻。
宗次ホールの大勢のお客様が一瞬にしてしーーーんと静まり返った。
ひとつの大きなドラマを見せてくれるような、壮大な演奏。そこに大げさな表現はひとつもなく、壊れそうに繊細で美しいピアニッシモから、地鳴りのような振動を起こすff。まさに、
極めて高貴な芸術
を耳にした。派手だったり、安っぽさの一切ない、音楽と正面から向き合った人間の心の声を聞いた気がした。
演奏後、私が彼に伝えたのは、
ありがとう
だった。一生に一度でもこんな本物の芸術を耳にさせてくれたことに、なんとも言えない感動を受け、圧倒され,そして満たされ…その思いが感謝の言葉となって口から出た。
音楽は生き物。次回またどんな命を吹き込んでくれるのか、楽しみが増えた。
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