だいぶ前になってしまったけれど、以前2つのことを意外と多くの人がないがしろにしてしまっているのが気になると書いた。そのひとつとして前回指遣いの選び方について書いたので、今日はもうひとつの点について書いてみたい。それはテンポ。テンポ設定と言っても良いかもしれない。
初めて曲を勉強するとき、ついつい音を読み始めたくなるかもしれない。でも作曲家が残したものは音だけではない。テンポを含む表示の数々も大きな宝物なはず。楽語を調べないまま演奏している人も多く、この意味は?と聞くと答えられない事がある。“楽語”というと硬い響きになるけれど、作曲家からの大切なメッセージと思えばどうだろう?決してないがしろにできないはず。それを調べずに音を出す事など絶対にあってはいけないと思う。決して忘れないでほしい。
話が脱線してしまったが、テンポについて。テンポって何だろう?それはいつも書いているように音楽にとっての心臓だ。みんなテンポをどうやって決めているのだろう?CDで聴いた時こんなテンポだったから?・・・それは一番まずい返事の一つだと思う。CDは誰かがそう弾いているだけであって作曲家自身でも何でもない。(もちろん作曲家自身のCDもあるけど)。でも意外と耳にする返事なんだよなぁ。この返事(・・;)
テンポを設定するとはどういうことだろう。それは、最初のテンポを決めるということではない。全体のバランスをみると言う事だ。絵を描く時に画用紙に描く前に大体どういう大きさでここに家を書いて、この辺に山を書くとイメージするだろう。そうじゃないと書いてみてから、あーーー山を書く場所がない、などということになってしまう。
テンポも全く同じ。この曲は途中でテンポが変わる曲なのか。Accel.やrit., meno mosso やpiu mossoもテンポが変わる要素の一つ。どこまで速くするaccelerandoなのか、どこまで遅い必要があるritなのか。 A tempoという表示があるなら、ちゃんとA tempo=元のテンポ、の “元の”テンポと同じになっていなければいけない。ということは元のテンポはどこを指しているのか・・・、そういうものを全てみていくと、大体全体がバランスのとれたテンポの関連が見えてくる。その骨組みが大体みえてから始めて譜読みをするのだ。
もうひとつ大切な事は拍子。たとえば曲の頭にAndanteと書いてあるとする。でもそれは4分の4のAndanteなのか2分の2のAndanteなのかでテンポ感は全く変わってしまう。なぜかわかるかな。
4分の4ということは、心臓の脈になるのは4分音符。でも2分の2は2分音符だ。
たとえば メトロノームで60位だとする。その60が♩=60なのか 二部音符=60なのかで全く速度が違ってくる。
テンポは音楽の柱。でも音楽は呼吸している生き物だから、まっすぐ機械みたいにテンポを刻む事がin tempoではない。in tempoってなんだろう。
メトロノームという機械がある。これはとてもありがたい機械であるが、使い方を間違うととても危険な魔物だ。次回はin tempo、メトロノームの正しい使い方・・・そんな点を考えてみたい。
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