さて、前回の”軽さ“についての続き。
答えは、簡単!
鍵盤は下に下がる。
そう、でもこの事、つまり鍵盤が動くということが実は意外といろいろなことを難しく感じさせているのだ。人間の持つ手や足の感覚というのは、動かないものに接しているとすぐにつかめる。地面を歩いたり、コップなど動かないものをつかんだり。でも、目標の物体が動くと、エスカレーターに乗ろうとしたり、氷の上を歩いたり、たんぽぽの綿毛のように、飛んでいるものを捕まえようとしたり・・・想像すれば分かるように、慣れるまで最初のうちは慎重に捕まえないとうまくいかない。
そう、慣れるまで。
これは、日頃の“正しい“訓練で身に着くことだ。エスカレーターも何回も乗れば、考えずにひょいと乗る。でも思っていたより早いエスカレーターだったら、一瞬よろっとする。
正しい訓練とは何だろう。ピアニストの難しさの一つ、それは本番ごとに与えられた楽器に瞬時に反応し、慣れなければいけないということ。
<家なら弾けたのに、このピアノは・・・>
という言い訳を良く耳にするが、そんなこと聴衆には関係ない。
与えられた楽器に瞬時に反応できるよう、普段から意識して練習する必要がある。何に意識して練習するかというと、それは鍵盤のもつ特徴をつかむこと。よく、軽い鍵盤、重い鍵盤、そんな表現をするが、その感覚は鍵盤が上にあがってくる速度の違いから感じるものだ。鍵盤自体の重さではない。普段から、その鍵盤の戻りにどれだけ意識を持って練習しているかが、大きく影響する。
ここで、一つとても大切なことがある。鍵盤の特徴の意識をつかむのは、目ではない。指だ。それも指先の腹のこの部分。
つまり指の感覚を成長させなければいけない。指というのは、この部分に一番神経が集まっているらしい。ピアノは指から指へ渡して弾く。つまり歩くことと同じ。つま先で歩いたり走ったりしないのと同じように、軽いからと言って指の先っぽで弾くのではなく、“適度な指先の面積は必要になる”ということがわかる。
次回で“軽さ”については最終の予定です!
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