私たち演奏家の役割は、紙の上にある音符に命を吹き込むことだ。
命のあるもの、つまり、
<音楽が生きる>
ということは、どういうことだろう。
生きているものは、呼吸をする。動物でも、植物でも皆そうだろう。
音楽が呼吸をしない限り、音を並べても音楽は死んでしまう。
音楽が呼吸をするために必要な要素の一つは、緊張の伸縮だ。そのことについて数回にわたって書いてみたい。
音楽には、まず何よりも、動物や植物のように、決して途切れることのない
<脈の歩み>
がなければいけない。その脈の中に、緊張と弛緩がおりまざることで、音楽が呼吸をしていく。
緊張がずっと同じ状態の音楽は、なにも特別な出来事が起きず続いていくドラマや映画を見ていることを想像すれば、退屈してしまうことは、容易にわかるだろう。つまり、緊張とは、
何かの<変化>が起こること
で生まれるのだ。
(続く)
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