弱く深みのある和音で曲を始める・・・とくに緊張しているときなど、本当に難しい。
ぼかんと思わぬ大きな音が出てしまったり、逆に鳴り損ねてしまったり。誰にでもある経験だろう。
まず、解決策を考える前に、どうなることでこのアクシデントが起きているかを考えてみたい。これまでのブログでも何度か触れたように、ピアノという楽器はハンマーが弦をたたくことで音となる。ハンマーが思ったより速くあるいは強くあたり過ぎたり、あるいは逆にあたり損なったりしてしまうことで、鳴り損ねや鳴りすぎということが起きる。
もちろんピアノを弾く時に、どれほどの速度で、どういうタイミングで・・・といちいち考えて計算しているわけではない。それをある程度自動的に感じられるようにするために、普段から“意味のある練習”を通して、感覚を体に染み込ませていくのだ。
今回のテーマである“静かに、そして深く豊かな音”を得るためには、完璧な打鍵のタイミングをわかっていることが必要となる。打鍵というのは、鍵盤が“底にあたって”初めてできるわけだから、そのタイミングをつかむためには、鍵盤が降りるときの鍵盤の重さ、つまり鍵盤が上に戻ろうとする力を指先で感じている必要がある。鍵盤が戻ろうとする力を感じながら、それに見合った速度で鍵盤を下ろし打鍵をする。
ゆっくりとした深い丸みのある温かい音。たとえば、ベートーヴェン作品110の1楽章の始め、あるいは作品109の3楽章の始め、あるいはショパンのバラード4番の出だしなどなど。ぷるぷるっと震えてしまうのも稀ではない。
こういう時に、安心して弾けるための、<指先が捉えている鍵盤の感覚>を、今回は理屈ではなく感覚で説明してみたい。
プールで泳ぎを覚え始めのころに使うビート板。これを使ったことがある人は多いだろう。もしもなければ、発泡スチロールの板でも良い。これをちっちゃく5センチ四方ぐらいに切ったところをイメージしてほしい。イメージで十分!
これが、私の言うミニビート板。(^。^)
これを持ってお風呂か何かで、湯船につかっているところをイメージしてみよう。お湯にミニビート板を浮かべて、それを人差し指と中指の指の腹だけを使って、お湯の中に5センチほど静めるとする。手首や腕に無理をせず、ミニビート板が斜めにならないように、指の力でぐっと水面5センチぐらいの深さに沈める。すると水圧が指先にかかって、ミニビート板が押し戻されそうになるので、それに負けないように、そしてビート板が斜めにならないようにぐっと手のひらをしっかりさせて、指の腹で水に沈める感じがわかるのではないかな。
ゆっくりと静かに深い音を出すとき、このお風呂での指先の感覚が非常によく似ている。少し感じがつかめるかな・・・
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ドイツで歯医者さん (1)
私のかかりつけの歯医者さんは、とっても良い人♪ベルリンに来て間もないころから
お世話になっていて、その当時は私のドイツ語がまずかったため、悪戦苦闘。
それでも熱心に歯の状況とこれからする治療を身振り手振りで伝えようとしてくれる頼りある若い歯医者さん(以下G先生)。そして、そのアシスタントとして歯のお掃除などもしてくれる女の子(A)。この二人がもう10年来、私の担当医である。
で、このアシスタントの子が何とも言えない味なのだ。彼女はおそらく私より数歳若いと思う。もともと、事あるごとに自分の世界にすーぅっと入っていそうな、独特オーラが出ている。ある時なんぞは、治療中にふと、
A: ねえ。結婚ってやっぱり良いものかしら・・(¨ )
と遠い目で尋ねられ、
私:へ? (・_・;) あ、まあ良いんではないでしょうかねぇ。
と歯切れのない返事をした私。歯医者でこんな会話あるのか、普通・・・。
その彼女が先日治療に行った時に、顔を見るなり。
A:あなた、ご主人ともうすぐ演奏会するんだってね、ベルリンで!
私:えー、何でご存じなんですか?
とまたまた、歯医者というより近所の奥さん・・ってな感じの会話である。なんでもクラシック音楽を聴くのが趣味だとか。それで演奏会情報を見ていたらDと私の名前が目に入り(Dもこの歯医者でお世話になっている)早速チケットを予約したらしいとのこと。
A:しかもね、G先生ご夫妻にもその話をして、予約させちゃた♪
私:あのぅ・・・・。G先生はクラシックなんぞ興味ないのではないでしょうか・・・かえって迷惑では・・と気をもんでいるうちにG先生登場。
G先生:いやぁ、元気?君たちのコンサートのチケット予約したよ!アシスタントAに勧められてねー。で、どんな演奏会? ←(ってチケット取ってから質問?)
私:えーっと、○×団体というのが企画していて・・・・二台ピアノで・・・。
G先生:ふーん。ところでそれってクラシック音楽?
私:(o ̄∇ ̄)o!!ガーン
やっぱり・・。曲目よりも何よりも、クラシックのクの字も知らない先生であった。大丈夫かなぁ・・・。
私:でもその日もお仕事があるんじゃないですか?
G先生:大丈夫。その日は特別にアレンジして、早く店締めをすることにしたから♪
(-o-) いいのか、この歯医者?
G先生は、本当に辛抱強い。何しろ、はい、歯をかみあわせてー、ハイ、カチカチいわせてー。ほい、こすり合わせて、などということをいわれても、何がかみ合わせて、なにが、カチカチいわせるかなんて、来たばかり頃の私にはそんなドイツ語分かるわけなし。なので、あたふたしていると、G先生自身が一生懸命、がちがち噛んで見せてくれたりとか、こすり合わせて見せてくれていたのだ。ほんとに良い人だ♪(←単純?)
先日は、アシスタントに治療してもらう日だった。この日もA子はとぉってもいい味を出していた。その話は次回に!
私のサイトFromBerlinへは
こちらからhttp://www.rikakomurata.com