育てるべきこと (2)思考力

前回の話に引き続き、もう一つ育てるべきは”考える“という能力だ。
レッスンで何かを言われたら、あわてて弾き始めず、先生の言葉の「真意」を考えること。
弾いてくれた音や先生の言葉から生徒自身がレッスンから何を引き出せるかが、
長い目で見たときに大きな違いになると思う。
それが、客観的に物事をみることにつながっていくから。
試行錯誤
という時間は決して無駄でも遠回りでもない。
具体的に書いてみよう。
たとえば、「焦って聴こえるよ」と言われたら、楽譜に”あわてない”と書き込む生徒が多い。
でも、あ、あわてないようにしなきゃ、ではなく、どうして第3者には焦って聴こえるのか、
その理由を探さない限り、その場だけ気を付けてブレーキをかけても何も生み出さない。
たった一つの短い音への、あるいはたったひとつの休符への意識が足りなかっただけで
そう聴こえている場合もあれば、実は弾き方の問題ではなく、
ペダルの踏み方がそう聴こえさえている場合だってあるのだ。
ペダルに関して言えば、ペダルが濁ってるよ、といわれたら、
ペダルをきれいに変えればよいのだろうか?実はペダルが原因ではなく、
指で作り出す音が不明瞭なために、ペダルをいくら上手に変えても、
ぼやっと濁って聴こえている、ということも非常によくある例だ。
右手が固くなってるよ、と言われたら、実は左手が鍵盤にきちんと安定していないからかもしれない。
肘が出てると言われたら、肘を下げれば良いのではない。親指の使い方が原因だったりもする。
練習は曲を弾くことばかりではない。
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