自分を知る、楽器を知る(5)  耳の大切さ

残念ながら、数学のように、どの重さにどの速度を足すと、こんな音が出る、という決まりがあるわけはないので、それは自分の欲しい音をイメージして、実際出ている音を耳で判断しながら、どういう種類の打鍵をしたら自分の理想の音に近付くかを探していくことになる。
ただ、参考として、こういうことを言っておこう。
原則7)部品が重くなると、動作が遅くなる。
たとえば、二つの押しボタンが目の前にあって、それをできるだけすばやく交互にたたいてほしいと言われたとする。
その手段として、鉛筆と、丸太の棒のどちらかを選ぶように置いてあったら、どちらを選ぶか、それは明瞭だと思う。とかいっておいて、丸太って言われたらどうしよう・・汗
音楽で例を挙げると、オクターヴで、しかもフォルテで上の方から下の方まで早く下りてこなければいけない部分があるとする。フォルテだからといって、全部の力を指にかけたら、指は動きづらくなる。早く行く必要があるからと言って、軽い方がいいからと指だけの重さにすると、力強いフォルテのオクターヴは出ない。
このように、大きい音が必要だから、重さを乗せ、小さいから軽くするというほど、単純ではない。使う部品とそれに加える速度のバランスを見つけるのは、耳の作業になる。ただ、耳で探す前に、

原則8)欲しいと思う音が頭にしっかりとあること。

それを持ってこそ、本当の意味の練習が始まる。