自分を知る 楽器を知る(2) 音とは

9月のブログで、このテーマを取り上げた。言葉での説明が難しく、なかなかブログにしづらいとあれ以来苦戦しているのだが、やはりピアノを弾く上で基本になる大切な内容なので、言葉にしてみたい。
ピアノという楽器は、どうやって音が鳴る?
何をいまさら、という文章だけど、一度考え直してみてほしい。楽器を知らずに演奏はできないからだ。ピアノは誰にでも音が出せるので、どうすれば音が鳴るかなど、考えないまま今まで弾いて来ている人は山のようにいると思う。
―ピアノという楽器は、鍵盤を下せば音が鳴る。
と思いますか?
では、鍵盤を人差し指で、できる限りゆっくりと降ろしてみよう。・・・鳴らないでしょう?
―じゃあ、指先に重さをかけて弾く?
ほんとう?
さっきと同じ人差し指で、今度はすっごく重さをのせながら、できるかぎりそぉっと鍵盤を下してみよう。指先にはぐいぐい押してるけど、これも鳴らない。
何が違うんだろう。鍵盤と指にとらわれてしまわず、ちょっと目線を上げてみよう。グランドピアノという楽器は、目の前に長いのがわかる。ピアノを弾くというと、つい鍵盤と楽譜とのにらめっこになってしまうのだけど、ちょっと譜面台の向こうにあるピアノの中に目を向けてみよう。もう一度指で鍵盤を下しながらピアノの中をのぞいてみるとどうだろう。ハンマーが下から上がってきて、弦をポンと叩いて、また下に戻る。でも、ゆーーーっくり下ろしすぎると、弦を叩き損ねて、たたかないまま下に少し降りるのがわかる。
実は鍵盤って、すごく長い。指で弾いているところから、今見たハンマーのところまで長い棒のようなものだ。長い木の棒の手前を私たちは指でおろして、そのおかげで木の棒の向こう側の先っぽについているハンマーが上がる。
そう、つまり、
てこの原理。
てこって、手前を押すほど向こうが楽にあがる。奥の方を押そうと思うと上がりにくい。
原則1)特別な例外を除いて、できるかぎり鍵盤の奥の方を弾くことを避ける。手前の方がコントロールがしやすい為。

では、さきほど重さをかけても音にならなかったのはなぜ?
それは、エスケープという機能が関係してくる。難しい話になりたくないので、少しだけにしぼって説明すると、鍵盤をゆっくり下ろしすぎると、ハンマーが弦を叩き損ねて少しだけ下りるということは実際やってみるとわかるだろう。それは、弦を叩く直前にエスケープという機能が付いていて、それがあることで、ハンマーが弦にあたったままにならないで、下りてくるようにしてあるから。なぜそうしてあるかというと、ハンマーが弦に当たったままになったところを想像すれば分かると思う。ハンマーは綿みたいに柔らかいものでできていて、それで弦を押さえつけると、音が伸びなくなってしまう。シンバルをたたくときに、たたいた後二つのシンバルを合わせたままにしているようなものだから。
ピアノがこういう仕組みになっていることを考えると、いくら重さ”だけ”をかけても、それに最低限ある程度のスピードを加えない限り、そのエスケープのせいでハンマーが弦をたたく前に降りてきてしまうのはわかるだろう。
原則2)ピアノという楽器で音を出すには、打鍵をする“スピード”が一つのカギとなる。
重さをぐいぐい掛けるのではなくて、スピード。
では、重さは使わないの?
もちろん使います。それについて説明してみよう。
ピアノでは、もちろん様々な音の色が必要になる。音の色を変える方法は、和音のバランスとか、音を出すタイミングとか、ハーモニーとかペダルとか・・本当にいろいろあるのだけれど、今見たように音を鳴らすには打鍵のスピードが一つのカギになるという根本から考えると、極端にいえば送り込むスピードを変えることでも音の色を変えることができるわけだ。
逆に、同じスピードを送り込んだとしても、軽いものにスピードを足して送るのと、ある程度重さのあるものに、速度を足すのだと、到着する勢いに違いが出るのは、想像できるだろう。
たとえば、ある大きさの、紙でできた箱と、それと同じ大きさのレンガの石があるとする。それを同じ様に勢いをつけて地面に落としたとすると、落ちた時の勢いが違うのはすぐ想像できると思う。
つまり、もともとの重さ×それに足す速度(エネルギー)で到着点の勢いがかわるので、重さと速度を組み合わせによって、様々な勢いを作ることができるというわけ。
なんか物理みたい・・・汗
なので、私たちがピアノを弾く場合、必要に応じて使う重さとスピードをさまざまに組み合わせることによっていろんな音を出すことができるということになるのは、わかってもらえただろう。
自分なりに、分析してみたのだけれど、こんな感じであっているのかな・・
ふう・・・言葉だけの説明って大変・・・頭がショートしそう・・・((+_+))
・・・続きは次回のブログで♪
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